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イーサリアムの次期アップグレード

暗号資産

イーサリアム(ETH)のブロックチェーン開発者は8日の会議で、次期アップグレード「Dencun」に向けて改善提案(EIPs)のリストをまとめた。

このアップグレードは今年後半の導入が予定され、「Dencun」の名称は、それぞれ実行レイヤーのアップグレード「Cancun」とコンセンサス層のアップグレード「Deneb」から由来している。

予定される最も大きな変更は、EIP-4844「プロト・ダンクシャーディング(Proto-Danksharding)」である。これはレイヤー2(L2)からレイヤー1(L1)へのデータ転送にかかるトランザクションコストを削減し、結果としてL2のトランザクション手数料を大幅に低下させる目的を持つ。

これにより、オプティミズム(OP)、アービトラム(ARB)などのレイヤー2スケーリングソリューションの取引手数料を最大で100分の1にまで削減することが可能とされる。

その他にも「Dencun」で実装予定のEIPsは、以下のようなものが含まれる。

  • EIP-1153 – 一時的なデータの保存に使用され、トランザクションごとにリセットされる新たなオペコードの導入により、ストレージコストを削減し、ネットワーク全体の効率性を向上させる。
  • EIP-4788 – イーサリアムの実行レイヤーに「ビーコンチェーンブロックルート」という新たなデータを追加。これにより、ステーキング残高など、ビーコンチェーンブロックの状態に含まれる値の証明が可能になる。
  • EIP-6780 – SELFDESTRUCTオペコード(スマートコントラクトを終了させる機能)の排除により、セキュリティと効率性を向上させる。
  • EIP-5656 – イーサリアム仮想マシンに関連するマイナーなコード変更を導入する。

具体的なハードフォークの日程はまだ決まっていないが、2023年末までには起動予定とされている。

関連:ブロックチェーンのレイヤー2とは|種類や注目点、代表的なネットワークを解説

EIP-4844の重要性

レイヤー2とは、ブロックチェーンの取引処理能力を向上させる追加層で、イーサリアムのようなメインチェーンに全ての取引を記録すると、処理速度が遅くなり手数料が上昇する問題を解決する。メインチェーンから取引を引き受け、圧縮したデータをレイヤー1に戻すことで、1秒間の処理取引数を増加させる役割を果たす。

レイヤー1は、取引の正当性を確認し、セキュリティを保証する。レイヤー2は追加層として実装されるため、既存のレイヤー1の構造を変える必要はなく、複数のレイヤー2をサポートすることが可能で、この特性から多くの新プロジェクトが進行中である。

しかし、ロールアップを導入しても、イーサリアム以外の一部の仮想通貨チェーンと比較して手数料が高くなる可能性があるため、さらなるコスト削減が求められていた。EIP-4844は、その問題解決を目指すために考案された。

具体的には、EIP-4844「プロト・ダンクシャーディング」は、レイヤー2ソリューションからイーサリアムのブロックに低コストでデータを追加する方法を導入する。この改善提案は、レイヤー2のスケーリングをさらに最適化するための中間ステップでもある。

EIP-4844では、L2からL1への書き込みを可能にする専用のトランザクション(ブロブトランザクション)を導入する予定。このトランザクションには、EVM(Ethereum Virtual Machine)がアクセスできない大量のオフチェーンデータ(ブロブ)が含まれる。L1に書き込まれたL2のデータは一定期間だけアクセス可能であればよいため、ブロブはその期間が経過すると消去される。これにより、ネットワークのノードはディスク使用量を抑えることができ、効率性が向上する。

ダンクシャーディングのステップでは、上記のブロブが64個まで拡張される。これは、将来的にイーサリアムがシャーディング(ブロックチェーンを分割する手法)を実装する際に大いに役立つことが期待される。

シャーディングでは、ブロブトランザクションはシャードごとに分散されて検証される。これにより、イーサリアムは数百の個別のロールアップをサポートし、1秒間に数百万のトランザクションを処理することが可能になる展望だ。このように、「Dencun」アップグレードは、イーサリアムのスケーリング問題を解決し、取引の高速化とコスト削減を実現するための重要なステップとなる。

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