顧客の預金をトークン化
米金融大手JPモルガンチェースは、ブロックチェーン基盤の入金システムを開発していることがわかった。1人の情報筋の話として「ブルームバーグ」が8日に報じた。
入金用のトークンを活用する仕組みを構築して、国際決済の処理を速めることが目的。このプロジェクトはまだ初期段階だというが、基盤の大部分が開発済みだという。
情報筋は、米規制機関の認可が得られるまでは、実際にトークンは発行しないと説明。規制の認可が得られれば、そこから1年以内に企業の顧客向けにこのプロダクトをローンチする可能性があると述べている。このシステムでは、顧客の預金をトークン化するという。
JPモルガンの取り組み
JPモルガンの公式サイトでは、グローバルに展開している法人向け事業では「JPモルガン」を、米国で展開している中小企業や個人向け事業では「チェース」ブランドを用いていると説明されている。同社は、ブロックチェーン技術の活用に積極的だ。
例えば今年6月には、ブロックチェーンベースの独自デジタル通貨「JPMコイン」で、企業顧客向けのユーロ建て取引を開始したことがわかった。JPモルガンで欧州、中東、アフリカのコインシステム責任者を務めるBasak Toprak氏は、ドイツのハイテク大手シーメンスが、JPMコインのプラットフォーム上で初のユーロ建て決済を実施したと述べている。
ほかにも同社は、アナリストが暗号資産(仮想通貨)に関する分析も行なっている。今月には、「米証券取引委員会(SEC)はビットコイン(BTC)の現物上場投資信託(ETF)を承認せざるを得なくなる可能性が高い」との見解を示し、注目を集めた。
JPモルガンのアナリストは、米デジタル資産運用会社グレースケールが、ビットコイン投資ファンド「GBTC」のETF転換を巡る訴訟でSECに勝訴したことを受け、SECは複数の現物ビットコインETFを承認する可能性が高まったと予測している。
一方で、ビットコイン現物ETFはカナダや欧州など米国以外の国々ですでに運用されているが、大きく投資家の関心を集めるには至っていないと指摘。ブラックロックなどの金融大手によるETFが承認された場合でも、ビットコイン先物など他の商品から流動性が流出するだけで、ゼロサムゲームになると予測している。
そのため、ビットコインETFが仮想通貨市場の転換点になる可能性は低いとの見方を示した。