NFTの普及へ
2023年7月開催のWebXカンファレンス(以下、WebX)で出展したSBINFT株式会社(以下、SBINFT)の代表取締役である高長徳氏にお話を伺った。
同社はNFT(非代替性トークン)サービス企業。昨年11月には「Be the FIRST. Be the STANDARD. NFTを広げる、その真ん中に。」というステートメントを発表し、NFTを通じた革新的なサービスを先頭に立って社会に広げることを表明した。
WebXでは、SBIグループとしてプラチナスポンサーに就任。高氏はWebXで基調講演も行っている。
インタビュー内容
高氏はSBINFTの事業について、大きく分けて2つの事業に取り組んでいるとした。
1つ目はNFT電子市場「SBINFT Market」の提供。この電子市場はイーサリアム(ETH)、ポリゴン(MATIC)、オアシス(OAS)のブロックチェーンに対応している。
以前はアートのNFTや企業とコラボしたNFTなどの取引サービスを提供していたが、23年7月にオアシスに対応し、11月にはゲームのNFTに特化する方針にリブランディングしたと発表。2024年以降に大きなゲームタイトルのNFTを複数取り扱う予定で、今後も様々な企業・団体と協業しながら、NFTの販売や二次流通市場の提供を強化していくと説明している。
もう1つの事業はNFT運用支援ツール「SBINFT Mits」の提供だ。このツールは、WebX2023で正式発表された。
SBINFT Mitsは現在オープンベータ版を提供しており、正式版のリリースは2024年初春になる見通し。SBINFT MitsはNFT運用支援ツールだが、本質的にはNFTを活用した新たなWebマーケティングツールだと説明している。
WebXで発表して以降、既に40社弱の企業やプロジェクトとパートナーシップを構築。パートナー企業はSBINFT Mitsを使ってNFTを活用することで、顧客と直接つながり、企業の新たなキーオピニオンリーダーやロイヤルカスタマーを発掘・獲得し、彼らを育成することができるとした。
インフルエンサーが発信したことによって商品が売れた場合、条件に応じて紹介者にも報酬を与えていくというWeb3らしさを実現できるのがSBINFT Mitsの特徴だと語っている。
事業の現状と計画
なお、事業のうちSBINFT Mitsについては、既に運用を開始しているプロジェクトが複数ある。
直近の事例では「BONSAI NFT CLUB」のプロジェクトがSBINFT Mitsの機能を使って、エアドロップ(無料配布)を実施したと紹介。また、NFT所有者限定で投票権や応募権を付与したり、NFT所有量に応じて応募フォームを変えたりしてSBINFT Mitsを活用したと語っている。
SBINFT Mitsの今後の計画について聞くと高氏は、配送機能を実装すると述べた。この機能は既に発表済みだが、まもなく実装される予定だと話している。
これは、配送業者を通じてNFT保有者に実物商品を送ることができる機能。プロジェクト運営者が、ツール上で個人情報を収集せずに配送を行える機能を実装する準備を現在進めているとした。
ほかには、キーオピニオンリーダーを育てるために、SNSなど外部ツールと連携する準備も行っていると説明している。
WebX 2024に向けて
高氏は昨年のWebXについて、ビジョンに共感したと話し、海外からの来訪者の比率が多かったと評価。同社のブースには300社以上、1500人以上が訪れ、ブース内で実施したNFT配布イベントでは333個全ての配布が完了。ブース来場者は、そのうちの半数が海外からの参加者だったと語った。
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一方、今年のWebXには、NFTに関する企画やセッションを増やすよう望むと話している。一般企業のNFT活用事例などをプラスしたセッションやイベントを行って、Web2企業も巻き込んでNFTを盛り上げて欲しいと要望した。
高氏は、一般企業が最もNFTに取り組んでいる国は日本であるとの見方を示している。
WebX 2024について
2回目のカンファレンスとなる「WebX 2024」は、2024年8月28日(水)と29日(木)の2日間、ザ・プリンスパークタワー東京で開催する。
前回のWebXは、来場者数1万6,500人、スピーカー数290人、協賛・協力企業372社(団体含む)と、想定を大きく上回る反響を集めることができた。また、政府・行政関係者では、岸田文雄総理をはじめ、西村康稔経済産業大臣(当時)や萩生田光一政務調査会長(当時)、小池百合子都知事、吉村洋文大阪府知事らが講演している。
今年のWebXのビジョンは「既存のWeb1・2業界と新たなWeb3業界における産業間の架け橋となれるよう目指すこと」。このビジョンを実現するため、Web3業界における世界各国のリーディングカンパニーや関係者はもちろんのこと、暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンと普段接点のない事業者や、日本国内のみならずアジアのレギュレーターや推進省庁らも積極的に誘致したいと考えている。
また、アジアを代表するWeb3推進ハブの一つとなれるよう、積極的に海外のカンファレンスなどとも連携していく予定だ。