デジタル証券発行を支援
東京都は4月30日、デジタル証券(ST:セキュリティトークン)市場拡大促進事業補助金の申請受付を開始したことを発表した。
昨年度の支援と同様に、都内の企業は申請が認められれば、金融商品取引法および不動産特定共同事業法にもとづき、ST発行に必要な経費の一部を補助してもらうことができる。東京都は、今年度もSTの多様な発行事例を創出し、ノウハウや課題を広く共有することで市場拡大を図る取り組みをさらに強化して実施していくと説明した。
発表によれば、補助の対象となる経費は以下の3つである。
- プラットフォーム利用料
- 専門家等への相談経費
- システム開発費用
補助率は2分の1で、スタートアップの場合は3分の2であると説明。1件あたりの上限は500万円だとした。
また、今回は以下のように「重点分野」に該当する場合は上限を750万円まで拡充すると述べている。
- イノベーション創出・社会課題解決に向けて、個人に新たな投資機会を提供するもの
- デジタル技術を駆使して個人に新たな投資体験を提供するもの
なお、上記に該当するかに関係なく、都が令和5年度に実施したST発行支援事業で補助金の交付を受けた場合は、上限は300万円だと説明した。
募集は4月30日から来年の1月31日まで。申請は随時受け付けているが、都の予算限度額に達した場合は受付を締め切るとした。
都はSTについて以下のように説明している。
ブロックチェーン技術を活用して発行されるデジタル証券は、従来の有価証券に比べて小口での発行が可能で、発行体(企業等)と投資家が直接つながることができる等の特徴があり、貯蓄から投資への流れを加速するものとして期待されています。
都の取り組み
東京都はブロックチェーンなどの新しい技術の支援に積極的だ。昨年11月には小池都知事が、STの発行支援などフィンテックの振興を後押しすると発言。4月30日にはフィンテック・スタートアップの支援も発表した。
また、3月には、令和5年度のグリーンファイナンス外国企業進出支援事業に関して都内進出企業を公表。これは、グリーンファイナンスに取り組む海外の資産運用業者およびフィンテック企業の都内への進出を重点的・集中的に支援する事業だ。
事業の目的は、外国企業と都内企業との協業によるイノベーションの創出、マーケットの拡大などを通じてグリーンファイナンスを普及促進し、脱炭素社会の実現、サステナブル・リカバリーの推進を図ることである。
令和5年度は21の国・地域から60社の応募があり、有識者の審査を経て支援対象企業5社を選出。この中にはWeb3やAIの技術を活用する企業「Fresh Supply Co(FSCO)」が含まれている。
都の説明によれば、同社は資金調達を望む農業事業者等と金融機関・投資家を仲介するプラットフォームを提供。CO2排出量等のデータをトークン化することで、信頼性の高いデータの管理と取引を実現しているという。