英国やEUでの成長目指す
リップル社の欧州担当運営責任者センディ・ヤング氏は、同社が英国で暗号資産(仮想通貨)企業として登録申請を行い、EUに加盟しているアイルランドでも決済機関ライセンスを申請したと述べた。DLニュースが21日に報じた。
ヤング氏は、こうした動きについて「リップル社がこの地域で飛躍的に成長し続けることを見据えた大規模な投資」だと続けている。
リップル社は過去1年半で英国と欧州の従業員を約75%増員しており、現在全世界における約900人の従業員のうち100人以上がロンドン、ダブリン、アイスランドのオフィスで雇用されている状況だ。
ヤング氏は、リップル社が米国を拠点としつつ、世界の様々な市場で事業を広げていく方針だとも語っている。アジア太平洋地域(APAC)や、ヨーロッパ、中東、アフリカ地域(EMEA)も非常に強力な市場だと話した。
また、米証券取引委員会(SEC)が2020年12月にリップル社に対して訴訟を起こしてから後の期間では、リップル社の事業拡大のほとんどは米国外で行われたとも指摘した。今後は、米国の状況が回復することを期待するとも続けている 。
SEC対リップル社の裁判
SECが仮想通貨XRPを未登録有価証券だとみなしてリップル社を提訴した裁判では、7月13日に地裁でリップル社に有利な判決が下されたところだ。
米連邦地裁のアナリサ・トーレス判事は、XRP自体には証券性はなく、仮想通貨取引所での、一般投資家へのXRP販売は、有価証券取引とはみなされないと述べた。
SEC側は、今回の判決内容を精査しているところだとコメントしている。
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ヤング氏は、SECによる仮想通貨企業への取り締まりについてもコメント。(明確なガイドラインを提供せずに)「法的執行による規制」に訴えることは、イノベーションを促進したり、投資を呼び込む上では、生産的なアプローチではないと話している。
米国で規制が不透明である状況の中、英国やEUなどにとっては仮想通貨関連グローバル企業を呼び込むチャンスとなっているとも見解を述べた。
英国やEUの状況
リップル社が今回ライセンス申請を行った英国は、仮想通貨イノベーションの中心地となることを目指し、規制環境の整備を加速させているところだ。
6月にはチャールズ国王が、仮想通貨を規制された金融活動に指定し、ステーブルコインを英国で決済手段として規制する内容を盛り込んだ「金融サービス・市場法案」の修正案を承認している。
また、英金融行動監視機構(FCA)は7月4日、仮想通貨企業が広告宣伝について10月までに、既存の金融製品プロモーションに関するルールを遵守する必要があると発表した。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
EUも6月、仮想通貨に関する包括的な規制案「MiCA」を正式に承認。今後2025年1月までに段階的に発効していく計画だ。